10.1. Windowsネットワーク

Microsoft系技術の基本であるWindowsネットワークの概念について一部記載する。

10.1.1. Windowsネットワークの基本概念

ワークグループとドメイン

ワークグループはWindowsネットワークの基本単位のこと。
コンピュータをまとめたグループの1つの単位となる。

ワークグループ

マスターブラウザ

マスターブラウザは同一ネットワーク内のコンピュータのリストを取り扱いまとめて管理するホストのこと。
これは「ネットワーク」-「マイネットワーク」で一覧表示されるネットワークデータを指す。

ネットワークセグメント内に必ず1つ存在し、他のホストはマスターブラウザより参照して利用する。
マスターブラウザとなるホストは自動的に選出される

NTドメイン/ADドメイン

  • NTドメイン
    • NTドメインはWindows NTで使用されるユーザ管理の仕組み
    • ネットワーク上のWindowsホストをドメイン単位でグループ化し、ドメインコントローラ(認証サーバ)でアカウント情報を集中管理する。
    • ドメインにログインしたユーザはドメイン内の共有リソースやプリンタに認証なしでアクセスできる。
  • ADドメイン
    • AD(Active Directory)ドメインはWindows 2000 Server以降に採用されているドメインサービスのこと。
    • NTドメインと異なり、複数ドメインを階層構造で管理できる。そのため大規模ネットワークにも対応している。

ドメインコントローラ

ドメインコントローラはドメインを管理するためのサーバのこと。
ドメイン内のユーザのログオン認証を行う。

ドメイン内にドメインコントローラが1つ以上存在することで機能を実現する。
ユーザアカウント/グループはドメインコントローラに登録されユーザはドメインコントローラにユーザ名とパスワードを送り認証する。
なお冗長化のためにドメインコントローラは複数用意できる。

NetBIOS

NetBIOSはWindowsネットワークで使われているネットワーク用APIのこと。
ネットワーク内のホストにそれぞれ異なる15Byteの名称を付けて識別し、この名称に1Byteの通信アプリケーション情報を追加したものがNetBIOS名となる。
WindowsはこのNetBIOS名により通信対象のソフトウェアを区別する。

またNetBIOSをTCP/IPで使う仕組みにNetBIOS over TCP/IPというものがある。
これはTCP/IPでNetBIOSをカプセル化してTCP/IP上でセッション確立する仕組み。

WINSはIPアドレスとNetBIOS名の名前解決を行う仕組みのこととなる。

SMB/CIFS

SMB(Server Message Block)はWindows OSにおけるファイル共有プロトコルの1つ。
Windows以外のOS、LinuxやMacでも使用することができる

SMBプロトコルは、クライアントとサーバー間でのファイルや印刷データの共有、およびそれらのシリアルポートを通じた通信をサポートしている。
2022年現在はSMBを拡張したCIFS(Common Internet File System)も使用されている。

SMBとCIFSの特徴は以下の通り。

比較項目SMBCIFS
下位プロトコルNetBIOSインターフェースTCP/IP
暗号化のサポートなしあり
サポート範囲LinuxやMacでも使用可能Windowsシステム特化

SMB/CIFSの用途は以下用途で使用できる。

  • ファイル共有
  • プリンタ共有
  • リモートアクセスとその管理

WINSサーバ

WINSサーバはNetBIOSとIPアドレスの名前解決を行うサーバのこと。
WINSに情報が存在しない場合はLMHOSTSファイルが名前解決に使用される。

LMHOSTSの構造は以下の通り。

192.168.1.1   LPICSV   #PRE   
192.168.1.2.  HOST1    #PRE   #DOM:LPIC